
ご挨拶
2024年10月1日付で、医歯学総合研究科 総合外科学分野の教授および乳腺外科科長に就任しました。総合外科は乳腺外科と小児外科の合同診療科であり小児外科の岡本健太郎准教授とともに両外科学分野の発展を目指したいと思います。
乳癌は日本の女性において最も多い癌であり、多くの患者様とそのご家族が日々治療と向き合っておられます。近年、乳癌治療においては新規薬剤が次々と登場し、治療体系が非常に複雑化しています。それに伴い、専門診療科としての乳腺外科の重要性はますます高まっております。この複雑な状況に対応し、患者様にとって最善の医療を提供するため、私たちは常に最新の知識と技術を追求し続けたいと思います。
また、乳癌が患者数の多い疾患であることは、それだけ多くの研究が行われていることも意味します。乳癌の生物学的な解明を目指す基礎研究から、臨床の現場で未だ満たされていないニーズ(unmet needs)に対応するための臨床研究まで、その研究分野は非常に幅広いです。これらの研究成果が患者様の治療に還元されるよう、私たちは橋渡し役としても重要な責務を担っています。
実臨床の現場においては、乳癌患者様の長期的な治療や生活を支えるため、地域の乳腺専門クリニックとの診療連携がこれまで以上に重要になっています。さらに、画像診断、病理診断、遺伝子診療、放射線治療、再建外科など、多岐にわたる専門診療科との連携も欠かせません。当院には、それぞれの分野で充実した診療体制が整っており、このような恵まれた環境を最大限に活用し、次世代を担う若い乳腺外科医たちに最高の教育を提供したいと考えております。
乳癌医療の未来を見据え、患者様一人ひとりに寄り添った診療を心がけ、医療従事者全体で支え合う体制をさらに強化してまいります。