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医学部長あいさつ

医学部長あいさつ

東京科学大学 医学部 医学部長 秋田 恵一

 東京科学大学は、2024年10月、東京医科歯科大学と東京工業大学の統合により誕生しました。東京科学大学の前身である東京医科歯科大学は1928年に開校し、1944年に医学科が設置され、2024年には医学部創立80周年という大きな節目を迎えました。この歴史と伝統を継承しながら、新たな知の基盤を活かし、さらなる発展を目指しています。
 東京科学大学医学部は、日本および世界で活躍できる医師・看護師・臨床検査技師などの高度専門職業人材に加え、基礎医学、臨床医学、公衆衛生、医療政策などの分野で活躍する研究者・教育者の育成に取り組んでいます。教育プログラムでは、学生が自ら課題を発見し、自ら解決に導く力を養うことを重視しています。
 統合による強みを活かし、1年次には大岡山キャンパスで理工系の学生とともに学ぶことで、多角的な視野を育成します。また、リーダーシップを発揮するために、幅広い教養を備えた豊かな人間性の形成を目指しています。さらに、グローバルな視点を養うため、できる限り多くの学生に学士課程中の海外留学の機会を提供しています。多職種連携教育にも注力しており、チーム医療を支えるリーダーシップと人間力を兼ね備えた医療人の育成を進めています。
 医学科では、Clinician Scientist/Scientific Clinician の育成を目的に、低学年から研究活動に参加できる研究実践プログラムを提供しています。4年次にはすべての学生が5か月間の研究に専念する「プロジェクト・セメスター」があり、さらに意欲ある学生には M.D.-Ph.D. コースや研究者養成コースの選択肢も用意されています。学部在学中に海外の研究室や関連病院での長期・短期研修に参加する機会も整備され、多くの学生が海外留学を経験しています。保健衛生学科においても、同様に海外留学のための多様なプログラムが設けられています。
 大学院には、医学の高度な研究と教育を担う「医歯学総合研究科(医学系)」、臨床検査技術に関する教育・研究を行う「医歯学総合研究科(生体検査科学系)」、看護学の専門教育を提供する「保健衛生学研究科」があります。修士課程には、医療管理および医療政策の分野で活躍する人材を育成する「医療管理政策学コース(MMA)」、エビデンスに基づくグローバルな公衆衛生活動を推進する「グローバルヘルスリーダー養成コース(MPH)」などが設置されています。また、博士課程には、超高齢社会におけるがんなどの学際的な治療に携わる高度な医療人材の育成を目的とし、タイ王国マヒドン大学との国際連携による「ジョイント・ディグリープログラム(JDP)」も設けられています。
 医学と医療は日々進化しています。近年の新型コロナウイルス感染症の流行は、医学の限界を示すと同時に、科学の力と国際的な協働の重要性を改めて浮き彫りにしました。今後も未知の脅威に対応するには、基礎研究の深化と応用研究への展開が欠かせません。
 東京科学大学医学部は、異分野融合や医工連携を推進し、生命科学・データサイエンス・工学の知見を柔軟に取り入れ、次世代の医学像を切り拓く新たな医学を創造することで、複雑化する社会課題の解決に貢献していきます。たとえば、新型コロナウイルス感染症に対応する医療デバイスの開発、AI を活用した診断システムの開発など、実用的な研究成果を医療現場に還元する取り組みも進んでいます。国内外の大学・研究機関・企業との連携も一層強化し、世界水準の研究環境の整備を図っています。
 また、学生がのびのびと学べる環境づくりにも注力しています。学修支援体制の充実に加え、キャンパスライフの魅力向上にも取り組み、学生の主体的な学びと成長を後押ししています。大学統合によって広がった学びの選択肢を活かし、未来の医療人材や医工連携人材の育成に努めてまいります。
 東京科学大学医学部は、伝統を大切にしながらも創造性を育み、東京科学大学のミッションである「科学の進歩と、人々の幸せと。」の実現に貢献し、常に学び、挑戦し、世界と共に歩む姿勢で、社会の健康と幸福に寄与し続けてまいります。

東京科学大学 医学部

医学部長 秋田 恵一