
ご挨拶
2024年10月より、東京科学大学 肝胆膵外科学分野の第3代教授および肝胆膵外科科長に就任いたしました。2000年に発足した当教室は、本年で25年目を迎えます。この歴史ある教室の責任者を拝命し、身の引き締まる思いでございます。
私は1999年に東京医科歯科大学医学部を卒業後、旧第1外科で研修を開始し、その後、肝胆膵外科学分野に入局しました。以降、本学および国立がん研究センター中央病院において肝胆膵外科の治療に従事し、研鑽を積んでまいりました。
肝胆膵外科は、肝臓・膵臓・胆道の悪性腫瘍に対する外科治療を中心としながら、胆石症や肝内結石、膵炎、脾臓疾患、十二指腸疾患など、多岐にわたる病態に対応しています。また、神経内分泌腫瘍に対しても積極的に取り組み、PRRT(ペプチド受容体核医学内用療法)や薬物治療を含めた集学的治療を本邦に先駆けて進めております。
近年、腹腔鏡下手術やロボット支援手術の導入により、肝切除および膵切除の低侵襲化が急速に進展しています。私自身、これらの手術手技の黎明期から積極的に取り組み、手術適応の拡大やデバイス進化の中で多くの経験を積んでまいりました。今後も患者さんに優しい低侵襲治療の普及に努め、リーディングホスピタルとしてさらなる発展を目指し進めてまいります。
難治性がんの代表である膵がんや胆管がんにおいても、近年の薬物治療の進歩により、治療成績が飛躍的に向上しています。依然として治療が難しい疾患であるものの、最新の薬物治療や集学的治療の導入により、患者さんの予後が大幅に改善しています。根治的外科治療に加え、薬物治療、放射線治療、ゲノム診療など、あらゆる手法を駆使して患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することが重要です。当教室では、消化器内科、腫瘍内科、放射線科など関連診療科との緊密な連携を図り、東京科学大学だからこそ実現できる最先端の医療を追求していきます。
これからも患者さんとそのご家族に寄り添いながら、より良い医療の提供に努めてまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。