
ご挨拶
この度、2022年6月1日付で、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科感染症健康危機管理学分野教授を拝命いたしました。
本分野は、組織的な感染症危機管理を統括し、感染症に強い社会の実現に貢献するため、本年度新設した分野です。誰も経験したことがない新型コロナウイルス感染症に、正面から立ち向かい、献身的に診療、研究を推進してきた本学だからこそ、発展させることができる分野であります。その使命と、期待される役割を果たすことができますよう、身を引き締め努めてまいります。
私は、東京都職員として、都立病院運営、保健所業務、児童福祉施策、医療政策等を担当してまいりました。医療政策分野では、東京都地域医療構想の策定、東京都保健医療計画の改定等を行い、誰もが質の高い医療を受けられ安心して暮らせる東京の実現に向け、政策を企画立案、実施してまいりました。新型コロナウイルス感染症対策では、国、自治体、医療機関、保健所など、関係機関との連携を図りながら、職員と共に患者情報システムの構築や、療養生活に必要な健康管理、医療提供体制の構築に全力を尽くしてまいりました。
感染症危機管理対策は、平時にこそ、最悪の事態を想定し、被害を最小限にするための万全の備えを丁寧に積み上げることが重要です。その体制を維持しつつ、いつでも対応できるようスタンバイし、危機時には、未知の脅威に対し、まず備えを行動に移します。不測の事態により、備えの効力が足りなければ、情報を収集、分析し、適応できる新たな対策を繰り返す必要があります。そして、危機が一旦過ぎ去れば、危機時の対応を総括・検証し、次なる危機に備える。こうした、感染症危機管理対策の持続可能なモデルを地域、医療機関や行政と協働しながら明示するとともに、機動的に活動できる人材を育成してまいります。
また、感染症関連の情報収集と分析を継続的に行い、パンデミックを早期に警戒し、統合臨床感染症学分野と連携して、危機管理対応を実施してまいります。
今後とも関係機関との連携を密にし、学内外の皆様からご教導賜りながら、感染症健康危機管理学分野の発展に励む所存でございます。何卒ご指導、ご鞭撻の程お願い申し上げます。