
ご挨拶
この度、2022年1月16日付けで東京医科歯科大学医歯学総合研究科皮膚科学分野教授を拝命いたしました。本分野は本学設立時より開設されている歴史ある教室で、私は第6代にあたります。
臨床医学において、皮膚科学は基幹となる診療科の一つです。視診からスタート出来て道具はいりませんが、同時に患者さんの目にも明らかに見えることから、いつでも患者さんからの率直な疑問に答えられるような見識を要する、難しい診療でもあります。さらに、皮膚を舞台に分子生物学や免疫学など深く学問的に掘り下げられる分野でもあります。治療は、外用や小手術、光線療法などから、近年では全身投与の分子標的薬が多数上梓され、皮膚科の長い歴史の中で新しい時代を迎えていると言えます。
私は、1999年に山梨医科大学(現・山梨大学医学部)を卒業後、本学附属病院皮膚科にて臨床研修を開始し、本学大学院で研究を学び、アメリカ国立衛生研究所での研究留学を経て、筑波大学医学医療系皮膚科にて臨床・研究を発展させてきました。特に、科横断的な疾患において皮膚科医としてチームに加わる診療に魅力を感じており、膠原病など自己免疫疾患や、アトピー性皮膚炎・食物アレルギーといったアレルギー疾患、最近ではがん免疫療法における免疫関連副作用まで、これらの疾患の臨床に携わるとともにモデルマウスを使う基礎研究を平行して進め、多くの科の先生方と連携を取らせていただきながらキャリアを構築しました。
皮膚科は、すべての大学に設置されている講座であり、ほとんどの総合病院に設置されている診療科であるとともに、町の身近なクリニックも必要とされているプライマリーな診療科でもあります。やるべきことは多岐に渡りますが、新規の技術を積極的に取り込むことや多くの診療科の先生とのコミュニケーションを取りながら診療を展開することができる、オープンマインドな皮膚科臨床医を育成したいと考えています。また、「視る」だけで済ませずに病態解明を行い、本学より世界の学界へ新規知見を発信できる学術的活動を行う教室に発展させていけるよう、決意を新たに努めてまいります。
学内外の皆様からの一層のご指導、ご鞭撻を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。