
ご挨拶
この度、本学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野の教授を拝命いたしました。本講座は2021年4月に新たに設置された分野です。COVID-19のパンデミックを機に感染症への関心やニーズが高まっている中での立ち上げとなりました。
私は1997年に本学を卒業後、市中病院で臨床経験を重ねる中で感染症に関心をもち、静岡県立静岡がんセンター感染症科、国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース、東北大学病院総合感染症科などで研鑽を積みました。感染症の診療に加え、アウトブレイク対応や疫学研究などを通じて多くの先生方にご指導をいただいてきました。2017年からは、国立国際医療研究センター病院に設立されたAMR臨床リファレンスセンターにおいて薬剤耐性(AMR)対策に従事しました。COVID-19関連では中小病院でのクラスター対策支援を行いました。行政機関とのやり取りや政策につながる活動を経験し、感染症対策には様々な専門性を広い視野でつないでいく必要があることを学びました。
本学では感染制御部が精力的に院内感染対策を進めてきました。ここに新たに感染症診療の軸を加え、感染制御と感染症診療の両輪を活かして感染症対策に邁進したいと考えています。臨床現場ではどの診療科においても多かれ少なかれ感染症に関わる機会があります。関係する方々と協力しながら感染症に強い大学病院を作っていくとともに、様々な医療機関での感染症診療、感染制御の質の向上にも貢献したいと考えています。研究面では、これまで取り組んできたAMR対策を中心とする疫学研究や抗菌薬適正使用に関する研究を進めるとともに、学内外のネットワークを深めることにも注力していきます。本学では歴史的に多くの講座が感染症に取り組んできました。臨床の各分野もさまざまな形で感染症の診療や研究に携わっています。これらの連携を図り、新たな展開を推進することで本学のさらなる発展に寄与したいと考えています。これらを通じ、目の前のCOVID-19対応はもちろん、ポストパンデミックを睨みながら、高い専門性と広い視野をもった人材育成にも取り組んでいきます。
スタッフの充実を図りながら、一つ一つの課題に真摯に取り組み、東京医科歯科大学の発展に微力ながら貢献していきたいと考えています。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。