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保健衛生学科

大学院医歯学総合研究科疾患生理機能解析学分野 柿沼 晴教授 就任挨拶

柿沼 晴教授 就任挨拶

ご挨拶
 2020年6月1日より東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 疾患生理機能解析学 教授に着任致しましたので、謹んでご挨拶を申し上げます。私は、本学医学部医学科を卒業後、消化器内科を専攻し、田中 雄二郎 学長、渡辺 守 理事ら多くの先生にご指導を頂いて、これまで本学・消化器内科にて教官をさせて頂いておりました。このたび、医学部保健衛生学科・検査技術学専攻にて、生理機能検査学の教育と研究を行う分野の教授に就任させて頂きました。そして着任に伴い、所属する分野は「疾患生理機能解析学分野」と名称を変えて新しく出発することになりました。指定国立大学法人となった本学の発展に貢献できるよう、講座のみなさんと協力して頑張って参りたいと存じます。

 私は、消化器疾患、とくに肝臓疾患の領域を専門としており、肝臓の再生・線維化を調節するメカニズムの解析と、線維化(すなわち肝硬変)を改善するための治療法を開発することを、主たる研究テーマとしてきました。肝臓疾患は、ウイルス性肝炎、脂肪性肝炎、自己免疫異常に基づく肝炎・胆管炎と、原因は多彩ですが、早期発見・早期治療が重要であり、放置すれば肝硬変、肝臓がんへと疾患が進展してしまいます。早期発見・早期治療のためには、臨床検査技師と医師との双方の協力と研鑽が必要です。そして、臨床検査技師と医師との相互協力を強める教育に力を入れながら、「臨床情報に根ざした疾患病態生理の解明」を研究の中心においた研究・大学院教育を展開したいと考えております。私は、これまでの研究にて、幹細胞生物学の研鑽を積む機会を頂いてきました。その基盤を継続し、現在はヒトiPS細胞培養系を利用して、肝臓や胆道系の細胞を誘導し、これらで作る「ミニ臓器=オルガノイド」を利用することで疾患モデルを作り、疾病の中で重要な分子、治療標的になりうる分子を解明したい、という研究を中心に行っております。このような研究は、日々の臨床から得られる情報に基づいて着想し、ヒトの「正常な」細胞を用いて研究することで、新しい知見を発見できる研究へと進みうるものと考えております。

 このような方針を共有できる、これまでご指導・ご協力を頂きました本学内の諸先生方はもちろん、国内外の協力者の先生方と力をあわせて、未だ確立された治療法のない肝胆道系疾患に対する、新しい治療法開発への端緒をつかむべく、新しい教育と研究を展開してゆきたいと思います。今後とも当分野へのご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

医歯学総合研究科 疾患生理機能解析学 教授 柿沼 晴