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保健衛生学科

大学院医歯学総合研究科 先端分析検査学分野 大川龍之介 教授就任挨拶

髙橋 英彦教授就任挨拶

ご挨拶
 このたび,2019年4月1日付で先端分析検査学分野・教授を拝命いたしました大川 龍之介と申します.何卒よろしくお願い申し上げます.私は東邦大学理学部生物分子科学科に在学中,さらに臨床検査技師課程を専攻し臨床検査技師免許を取得,2002年に東京大学医学部附属病院検査部臨床化学検査室に入職しました.11年間臨床検査技師として働く傍ら,日常検査業務だけでなく,未来の臨床検査のための研究をしたいと思い,同病院検査部長の矢冨裕教授(当時助教授)に師事し,生理活性脂質の病態生理学的意義の解明や新たな検査法の開発に関する研究を行ってきました.培った解析技術を駆使し,学内12の部門・診療科,学外17施設と共同研究を行えたことは私の経験値を上げるとともに臨床検査のニーズを肌で感じることができました.2008年には東邦大学で博士号(理学)を取得し,その後,2013年に本学先端分析検査学分野 戸塚実教授の下,助教として就任し,診療・研究に加えて,教育に従事してきました.2017年には日本学術振興会からの助成(国際共同研究加速基金(国際共同研究強化))により,オーストラリア メルボルンにあるBaker Heart and Diabetes Instituteで一年間共同研究を行いました.現在,臨床検査医学研究を行う傍ら,国際臨床化学会(IFCC)にも所属し,日本の若手臨床検査技師が世界へ繋がるための活動をおこなっています.
 現在の臨床検査は変革の時代であり,装置の自動化だけでなく,AIの導入などロボティクスの概念が加速的に進み,採血後の処理から検査,臨床医への報告まで,これまで以上に無人で行われるように進歩すると考えられます.便利である一方,装置がブラックボックスと化し,個々の患者に起因する問題などによるエラーに気が付きにくい環境に変わりつつあります.今後,数多くの検査データを論理的に解釈し,異常を見抜き,正しい検査値を臨床へ伝えるとともに,ロボティクスの盲点を改善し発展させていく,そういった使命感を持った臨床検査技師のスペシャリストを輩出していかなければなりません.また,超高齢化社会に突入した我が国にとって予防医学の発展は急務であり,粥状動脈硬化の研究を主とする私どもの研究室にとっても病態を早期に把握するバイオマーカーの開発は喫緊の課題であるといえます.さらに,日本の臨床検査技師のグローバル化は遅れているといっても過言ではありません.本学の目標にあるように,本学科の学生においても,世界に冠たる臨床検査技師を目指し,卒後,日本の臨床検査を牽引し,広い視野を持ってさらに世界へ飛び立つようなグローバルな臨床検査技師を育成する必要があります.
 臨床化学を教える先端分析検査学分野は,データ解析能力を特に必要とし,包括的に多くの疾患を取り扱うことから,上記のような人材を育成,研究するための場として非常に重要な責務を負っていると考えています.それとともに,教育の工夫によって,学生の成長に非常に大きな影響を与える分野でもあります.その責務をしっかりと認識し,日本,そして世界に貢献するリーダーを育てる教育,研究を行っていかなければならないと考えています.今後とも皆様方のご指導ならびにご支援を賜れれば幸いに存じます.

大学院医歯学総合研究科 先端分析検査学分野 大川 龍之介