(研究活動)
柿沼は、ヒトiPS細胞モデルを利用した疾患病態の解析と分子標的の開発、肝胆道疾患の発生・進展を制御する細胞間相互作用の解析、オルガノイド培養系を用いた肝胆膵疾患モデルの開発、肝臓の組織再生・線維化機構の解析、という視点で、分子生物学的、細胞生物学的アプローチによる研究を中心に、臨床の場から課題を抽出して研究を展開し、最終的には臨床の医療に還元することを目指している。
松沢は、クローン病をはじめとする炎症性腸疾患の病態生理を解明するために、クローン病責任遺伝子の分子病態などに着目し、診断/治療標的分子の開発を目指している。また、分子生物学的、細胞生物学的アプローチによる研究を用いて、腸管免疫を制御する分子機構、免疫細胞と上皮細胞の相互作用を介した細胞死の制御機構を解明すべく、令和5年度からは、「革新的先端研究開発支援事業(AMED-PRIME)」に採択されて研究活動を展開している。
山口は、大学院医歯学総合研究科 循環制御内科学分野と緊密な連携のもとに、同分野との共同研究を進めている。研究内容として、心筋リモデリングにおける細胞外小胞の役割の解析、虚血性心疾患や下肢虚血への新規生体材料の開発を行い、病態の解明と治療開発を目指す。また、非接触モニタリングデバイスを用いた睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングや低侵襲一誘導心電図による初期心不全や不整脈の検出など、低侵襲・非接触生体モニタリングデバイスの開発を行っている。心臓・血管関連疾患に関して幅広く研究を展開し、将来的な臨床応用を目指している。
(教育活動)
学部教育:医学部保健衛生学科 検査技術学専攻の学生に対して、生命情報応用学分野と共同で、臨床生理機能検査学の講義と実習を分担して行っている。また、臨床病態学、遺伝子染色体検査学の講義についても分担して行っている。最終学年における卒業研究では、大学院教育とも密接な連携を持って、前記の研究テーマに沿って、各自が独自のテーマで研究を推進している。
大学院教育:前記の研究テーマに沿って、各自が独自のテーマで研究を推進している。さらに、消化器病態学分野あるいは循環制御内科学分野と共同で運営する形式で、その大学院博士課程学生を共同で指導している。
(教育方針)
学部教育
臨床生理機能検査学、臨床病態学、遺伝子染色体検査学に関する基礎的な知識を習得するとともに、卒業研究では大学院教育と密接な連携を持って、消化器領域あるいは循環器領域の疾患病態生理に関する研究を行い、研究を進めるために必要な基礎的な技能と科学的な思考法とを習得することを目標とする。
大学院教育
消化器疾患領域と循環器疾患領域における、優れた医学研究者を育成することを教育目的とする。広い視野に立ち次世代をリードする研究者を育成することが本分野における大学院教育のゴールである。
分子・細胞レベルから器官までの個々の要素が統合されたシステムとしての生体のはたらきを、解明・解析する手法について学ぶ。特に、消化器領域と循環器領域を中心とする疾患病態生理学を対象とし、疾患生理学理論と、診断に必要な検査技術とを学ぶ。さらに、細胞生物学、分子生物学、再生医学的手法から、新規の病態解明、疾患診断検査法、治療法の開発をめざす研究手法を修得する。
到達目標
①消化器疾患あるいは循環器領域における病態生理解明のための、細胞生物学、分子生物学、再生医学的な研究手法について学ぶ
②消化器領域あるいは循環器領域における臨床生理検査法、画像診断法の理論と技術とを修得する。
③新規の病態解明、疾患診断検査法、治療法の開発をめざす研究手法について学ぶ。