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医学科

大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野 佐藤 荘教授 就任挨拶

佐藤 荘教授 就任挨拶

ご挨拶
 この度、令和2年(2020年)7月16日付けで烏山一教授の後任として、東京医科歯科大学医歯学総合研究科 免疫アレルギー学教授に着任いたしましたので、謹んでご挨拶を申し上げます。私は、これまで大阪大学免疫学フロンティア研究センターの審良静男教授の御指導のもとで自然免疫学について学んでまいりました。院生として研究を開始した当初は、免疫学は自然免疫が非常にホットスポットになっていて、教室でもToll-like receptorを始めとした自然免疫受容体とそのシグナル伝達経路の仕事が精力的に行われておりました。ラボの外だけでなくラボの中でも一日一日が競争の毎日で、研究室の電気が消えることがない刺激的な日々でした。
 私もシグナル伝達経路の研究にも携わりながら、徐々に自身の研究テーマの探索を行い、当初はラボで一番人気の無かったマクロファージのテーマに行きつきました。当時、このマクロファージはこれまで体内には1種類しかなく、貪食のみがメインの機能であると考えられていたのですが、私達の研究により生体には複数のマクロファージサブタイプ(細胞の多様性)が存在し、各々が疾患ごとに異なる役割を持っていることを明らかにしてまいりました。これまでは、アレルギー、メタボリックシンドローム、線維症という疾患について研究を行って参りましたので、これからは更に標的疾患を拡張し、研究を展開していきたいと考えております。また、ラボを構えたら行ってみたいと思っていた新しいテーマとして、これまでの細胞を分類して行くノウハウをマクロファージだけでなく様々な免疫細胞へと応用し、細胞のダイバーシティをキーワードに新たな研究分野を開拓していきたいと思っております。これらの基礎研究も行いながら、これまで得られた研究シーズの応用として国内外の企業と創薬化についても力を入れてきましたが、基礎研究とは異なり、その活動の中でヒト外挿性や臨床研究の重要性を痛感して参りました。しかし、臨床と基礎が非常に近い距離で仕事行っている本学ではこれらのハードルもこれまでよりも解決しやすいと感じております。これからは基礎分野の先生とだけでなく、学内の臨床の先生方とも共同研究の機会を一つでも多く探りつつ、共同して仕事を進めることにより大学内の研究ネットワークを形成し、個人戦ではなく団体戦を展開し、東京医科歯科大学発の創薬開発にもチャレンジしていきたいと思っております。
 まだ赴任して間もないので研究室の研究環境が充分に整っておりませんが、一緒に研究をしてくれる教室のメンバーを増やしつつ、基礎研究とphysician scientistの育成にも力を入れ、医科歯科大学全体の発展に微力ながら貢献していきたいと思います。今後とも御指導御鞭撻の程、どうぞ宜しく御願い申し上げます。

大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野 教授 佐藤 荘