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医学科

医歯学総合研究科人体病理学 大橋 健一教授 就任挨拶

大橋 健一教授 就任挨拶

ご挨拶
 2020年7月1日付けで人体病理学分野教授を拝命した、大橋健一と申します。私は1986年に本学医学部を卒業、直ちに春日孟教授が主催する第二病理学教室に大学院生として入局し、人体病理学の基礎、人体病理学的研究の基礎を学びました。卒業後は附属病院病理部に助教、講師として勤めましたが、その間にカナダ、オンタリオ州にあるクイーンズ大学に留学する機会も与えて戴きました。私が病理部に在職していた期間は、ちょうど附属病院の建て替えの時期に当たっていましたが、新病院における病理部をどのようなものにするか、同僚と日夜議論して設計を進めたことが思い出となっております。新病院が完成して暫くもしないうちでしたが、2000年に先々代教授である小池盛雄先生の着任と交代で都立駒込病院に医長として転出しました。それまでは医科歯科大学の枠の中で仕事をしてきたわけですが、第一線の病院で他大学出身の先生方に揉まれ、貴重な診療経験となりました。私の人生も転換を迎えることになりましたが、縁があって東京大学人体病理学教室の准教授、虎の門病院の病理部部長、横浜市立大学医学部病態病理学教室教授を勤め、気がつくと20年の月日が経っていました。この間御茶ノ水の駅で降りるたびに母校が変わっていく姿、発展していく姿が見て感じられ、負けじと奮起する思いに駆られたものです。今回、本人もまさかと思っておりましが、20年ぶりに母校で働く機会を得ることができました。感謝の思いで一杯であり、責任の重さをひしひしと感じております。
 この20年間において、病理学自体にも学問的に大きな変化が見られましたが、病理医を取り巻く環境、病理医の仕事自体についても大きな変化が見られました。病理診断は今や他の臨床科と同じく病院における標榜科の1つとなり、専門医制度においては内科、外科等と並ぶ18基本領域の1つとなっております。基礎医学の1つとして、研究活動が主体であった病理医の仕事の中身は、今や診療活動が占める割合が大きくなっています。今や病理学における課題は臨床科と共通なものであり、専門医養成と研究活動をいかに両立させるか、若手医師にリサーチマインドをどのように持たせるかになっています。私自身もこれまで本学附属病院、学外の病院において常に診療活動と研究の両立に悩みながら続けて発展させてきた経験があります。一人でも多くの若き病理医を診療、病理診断の向上とリサーチの両立を目指し、多くの学術情報を学外に、世界に発信できるように育成していきたいと思っています。今後も病理学教室の発展とともに、臨床・基礎各分野とのコラボレーションを進めて医科歯科大学全体の発展に貢献していきたいと思います。ぜひご指導ご鞭撻をよろしくお願いします。

令和2年(2020年)7月
人体病理学・教授 大橋健一