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医学科・大学院医歯学総合研究科(医学系)

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概要

 我が国における在宅医療は、国の施策をはじめ、日本医師会、都道府県・市区町村・郡市区医師会等の関係団体、在宅医療に携わる専門職の各団体の連携のもと、市民への啓発、在宅医療を担う専門職の育成などがなされています。
 在宅医療は、医療・社会情勢の影響を多大に受けており、本講座では、今後、我が国における在宅医療の展望として重要な、「在宅医療の質評価と向上」、「在宅医療とオンライン診療、Information and Communication Technology(ICT)の利用」、「在宅医療と介護の連携、およびタスク・シフト/シェアを含む多職種連携」、「Multimorbidity高齢者に対する診療アプローチ」などをテーマに研究をすすめていきます。

研究内容

① 訪問診療における医師、患者、同席した家族の会話分析

 訪問診療時の会話データについても、医療コミュニケーション研究の標準的なツールであるThe Roter Interaction Analysis System (RIAS) で量的分析(発話に区切り、医療面接における機能コードにコーディングする)を行い、患者アウトカムとの関連を明らかにする必要があります。
 そこで、訪問診療時の医師、患者、同席した家族の各々の音声データをRIASでコーディングするためのオリジナルコード(在宅コード)を開発し、使用する上での妥当性を検証しております。そして、これまでのRIASコードと、開発した在宅コードを用いて、実際の訪問診療時の会話データの解析を行なっています。

② Multimorbidity高齢者に対する診療アプローチに関する研究

 超高齢社会を迎えた日本では、Multimorbidity(多疾患併存)、すなわち「一人の患者において複数の慢性疾患が併存し、中心となる疾患が設定し難い状態」の高齢患者が、在宅医療の現場においても増加しています。欧米においては、総合診療医(英国におけるGeneral Practitionerなど)や老年内科医が主体となって、その適切なケアについて議論されています。
 さらに、多疾患併存患者では複数の治療目標を同時に最大化することが困難であり、治療目標間のトレードオフが生じることがあります。そのため、患者が「自立した生活」「長生きすること」「痛みの緩和」「症状の緩和」のうち何を重視するか、また患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome: PRO)やQOL(Quality of Life)をどのように診療へ反映するかについても研究を進めています。これらの研究を通じて、患者一人ひとりの価値観や治療目標を踏まえた意思決定支援と、個別化された医療の実現を目指しています。

③ 訪問診療における診療内容および質評価に関する研究

 高齢化の進展に伴い、訪問診療を受ける患者は今後ますます増加することが予想されます。
 外来診療においては、糖尿病患者は受診頻度や検査頻度が高いほど疾患コントロールが安定する可能性が報告されています。しかし、訪問診療中の患者に対して外来診療と同様のアプローチを行うことは、患者や家族の負担、医療資源の利用の観点から必ずしも適切ではない可能性があります。そこで本講座では、生活習慣病を有する訪問診療患者における適切な糖尿病管理について検討を行っています。  さらに、在宅医療では肺炎、尿路感染症、皮膚・軟部組織感染症などの感染症が日常的に診療されている一方、病院と比較して検査や治療に利用できる医療資源には制約があります。そのため、本講座では在宅医療における感染症診療および抗菌薬使用についての調査を行っています。

④ 在宅医療における医療・介護連携の質向上に関する研究

 在宅医療では、医師、看護師、ケアマネジャー、訪問介護士など、多職種が患者の生活を支えています。そのため、医療情報が単に伝達されるだけでなく、各職種の専門性や実践に活用され、患者・家族への支援につながることが重要です。また、近年の在宅医療では、医療・介護人材不足への対応としてタスクシフト・タスクシェアの重要性が高まっています。そのため、訪問介護士をはじめとする介護職が、医療情報を適切に理解し活用できることは、安全で質の高い在宅療養支援の基盤となります。
 そこで本講座では、医療と介護の職種間における知識共有や情報伝達に着目し、どのような情報共有が実際のケアや意思決定支援につながるのかを検討しています。さらに、居宅療養管理指導をはじめとする医療介護連携の評価指標や情報共有モデルの開発を通じて、地域包括ケアシステムの質向上に貢献することを目指しています。