Now Loading...

医学科・大学院医歯学総合研究科(医学系)

教授
講師
助教

所在地
MAIL
分野HP

概要

研究・教育について

研究については、シグナル分子の光スイッチを作製し、細胞を光で操作します。細胞生物学の最新の手法を用いて、細胞やシグナル分子の機能の新しい見方の提唱を目指します。
20世紀後半から生命科学は大発展を遂げ、いまや人ゲノムが全て解読され、構成蛋白の網羅的解析が行われ、遺伝子ノックアウトマウスが作られています。しかし、これまで生物学の殆どの研究は、様々な条件での生物機能を描写(describe)するものでした。実際、実験に対する批判として、しばしば“生理的でない”という言葉が使われてきました。我々は21世紀の生物学はこれと異なると考えています。我々は生物システムを解明すべく、積極的に細胞機能を操作していきます。光を使えば、時間空間的に細胞機能を活性化できます。入力を様々に変化させ、その出力からシステムの構造を明らかにします。もし有益な性質を細胞に付与できれば、産業に結び付くかもしれません。

教育については、医学部医学科の細胞生物学、組織学(Histology)及び組織学実習を担当しています。年間を通しての目標は、科学者として形態の表現のしかたを学び、医師として患者の標本内の正常な構造について満足のいく説明ができることです。実習では標本を実際に顕微鏡で観察し、スケッチを行うことを重視します。



  • 神経細胞内のPIP3の分布を制御する。

    神経細胞内のPIP3の分布を制御する。

  • 新しく作られた膜蛋白を管状、球状の膜小器官が軸索輸送している。

    新しく作られた膜蛋白を管状、
    球状の膜小器官が軸索輸送している。

業績

業績1

Tomohiro Ishii, Koji Sato, Toshiyuki Kakumoto, Shigenori Miura, Kazushige Touhara, Shoji Takeuchi, Takao Nakata. Light generation of intracellular Ca2+ signals by a genetically encoded protein BACCS. Nature Communications. 2015 Aug 18; 6:8021. doi:10.1038/ncomms9021


石井智浩助教、中田隆夫教授の研究グループは、岡崎統合バイオサイエンスセンター、東京大学との共同研究で、光を用いて効率よく細胞内カルシウムシグナルを自在に操作する技術を開発しました。

業績2

T. Kakumoto, T. Nakata. Optogenetic Control of PIP3: PIP3 Is Sufficient to Induce the Actin-Based Active Part of Growth Cones and Is Regulated via Endocytosis. PLOS ONE 8(8): e70861. 2013.


PI3 Kinase は、細胞内で PIP3 を作る酵素で、がんの転移や糖尿病の病態にも関わっている重要な蛋白質です。この蛋白はいくつかのモデル細胞において極性の形成に関わるとされ、神経細胞における機能も議論されてきました。私たちは PI3 Kinase が細胞膜に結合して初めて活性化することに着目して、光によってオンオフできる PI3 Kinase のスイッチを作成しました。これを用いると PI3 Kinase は、神経細胞の突起よりも、その先にある成長円錐の移動に関わることが分かりました。この道具を用いて、さらに細胞内の基本的メカニズムを解明していきます。

業績3

T. Nakata, S. Niwa, Y. Okada, F. Perez, and N. Hirokawa. Preferential binding of a kinesin-1 motor to GTP-tubulin-rich microtubules underlies polarized vesicle transport. The Journal of Cell Biology 194:245-255. 2011.

業績4

T. Nakata and N. Hirokawa. Microtubules provide directional cues for polarized axonal transport through interaction with kinesin motor head. Journal of Cell Biology 162(6): 1045-55. 2003.