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保健衛生学科

大学院保健衛生学研究科 看護ケア技術開発学分野 柏木聖代教授就任挨拶

柏木聖代教授就任挨拶
 

 平成30年6月1日付で看護ケア技術開発学分野教授を拝命しました柏木聖代と申します。何卒宜しくお願い申し上げます。私は平成6年に藤田保健衛生大学を卒業し、同大学病院で看護師として勤務の後、広島大学大学院医学系研究科において平成17年に博士(保健学)の学位を取得し、帝京大学・東京大学・筑波大学・横浜市立大学において教育・研究活動に従事、また日本看護協会において、医療制度や診療報酬・介護報酬に関する政策企画および研究活動に従事してきました。 最初に赴任した帝京大学では、EBM研究センターを担当し、所属の衛生学公衆衛生学の先生方のもとで疫学やヘルスサービスリサーチの手法を本格的に学びました。当時、日本ではアクセスが難しかった介護保険レセプトデータを分析する機会をいただき、所得レベルやケアプランを作成する居宅介護支援事業所の法人特性が訪問看護の利用に影響を与えること(BMC Geriatrics, 2013)、在宅生活継続への訪問看護の有効性(Gerontology and Geriatrics International,2013)等を明らかにしました。その後、筑波大学に赴任してから現在に至るまで、医学、経済学、統計学、情報学等の専門家からなる学際チームによる研究プロジェクトの一員として、看護学の立場から全国の介護保険レセプトデータや国や自治体の統計データ等の大規模データを用いた様々な実証研究に取り組んでいます。

 こうした私の研究の原点は、根拠となる実証データを示すことができず、政策を議論する場で看護が議題にすらあげられない現状を何度も目の当たりにし、看護ケアに関する実証研究の必要性を痛感したことにあります。これまで病院や在宅・施設など様々な場で看護の力が発揮される場面をみてきましたが、それらの看護ケアの多くは個人の経験に基づく暗黙知のまま、体験と共に伝承されてきており、看護ケアのプロセスの可視化や有効性等の検証が進んでいない現状にあります。この現状を少しでも改善すべく、新たな研究手法等を取り入れながら看護ケアに関する実証研究に積極的に取り組み、その成果を国内外に発信することを通じ、質の高い看護ケアを、必要な人に届けられる仕組みづくりに貢献したいと考えています。 また、近年の急速な少子高齢化や医療や看護が複雑かつ多様化する中で質の高い看護ケアを提供するためには、将来を担う看護人材の育成が非常に重要であると考えています。分野ならびに分野を超えて先生方と密に協力し合い、最新の知見や効果的な教育法を積極的に取り入れ、学生教育の充実化を図り、優れた看護実践者・教育研究者の育成に努めてまいりたいと思います。これらを進めていくために、まず当分野の1人1人がそれぞれの能力を発揮し、教育・研究両面で1つずつ確実に成果を出していくことができるような体制・環境づくりに力を尽くしていく所存です。今後ともご指導ならびにご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

大学院保健衛生学研究科看護ケア技術開発学分野 教授 柏木聖代