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医学科

大学院医歯学総合研究科 消化管外科学分野 絹笠祐介教授就任挨拶

kinugasa

  平成29年9月1日付けで消化管外科分野教授を拝命致しました絹笠祐介と申します。何卒よろしくお願い申し上げます。
  私は平成10年に本学を卒業後、杉原健一教授の腫瘍外科学分野(旧第2外科学)に入局しました。本学附属病院や関連病院で研修後、国立がんセンター中央病院にて外科レジデントとして、癌に対する考え方や手術のトレーニングを受けました。大学院では、がんセンターにて興味を持った骨盤手術に関わる研究をしたく、札幌医科大学の村上弦教授のもとで臨床解剖の研究をしております。平成18年より静岡県立静岡がんセンター大腸外科勤務となり、平成22年から同部長として大腸癌に対する手術を数多く手がけて参りました。
  消化管外科学は、消化管の外科治療を扱う分野ですが、特に消化管悪性疾患に対する治療がその中心となります。今や国民の二人に一人が一生に一度はがんに罹り、年間80万人以上が新たにがんと診断されています。社会の高齢化に伴い、がん罹患者数は今後も増え続けることが想定されています。消化管のがんは全がん種の30%を占め、なかでも私の専門である大腸癌は2015年より罹患数が最多となり、今後益々増加が見込まれます。大腸癌治療の主体は外科治療であり、その7割以上で手術が行われています。近年、腹腔鏡手術のニーズが高まっている一方で、施設間の技術格差が問題視されるようになって参りました。前任地では、大腸癌の9割を腹腔鏡手術で行い、その高い技術・優れた手術成績が評価されておりました。更には、解剖に則った機能温存直腸癌手術の開発も行っており、根治性と泌尿生殖器機能温存を高いレベルで両立された成績が、評価頂いております。また、他院にて切除不能もしくは切除困難と診断された進行/再発大腸癌に関しても、積極的に拡大手術を取り入れております。前任地の静岡がんセンターでは、2011年から直腸がんに対するロボット手術を導入し、国内でダントツ最多となる600例を超えるロボット手術を施行し、多くの大学病院や中核病院で手術指導をしております。私のモットーは「すべての治療は患者のために」であります。そのためには、最新の知識と最高の技術を持って治療に当たらなくてはなりません。同様に「現在の治療成績に決して満足しない」を忘れず、これからも知識を広げ、技術開発を進めて参ります。
  当教室では、若手外科医を増やし、その育成や関連施設を含めた手術のレベルアップを図って参る所存です。クリニカルクエスチョンに対して、積極的に関連診療科や基礎講座と人的交流を行い、大学ならではの診療・研究の幅を広げていきたいと思います。ゆくゆくは、消化器癌の中心的な役割を担う大学にするとともに、優れた指導者・研究者の育成に努めたいと思います。今後ともご指導ならびにご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

大学院医歯学総合研究科 消化管外科学分野 教授 絹笠祐介